
交通事故のない安全で安心できる社会は、誰も望んでいることです。
しかし、8月25日、福岡市で発生した幼児3人死亡という交通事故は、家族連れの乗用車に飲酒運転の車が追突し、 14メートル下の海へ転落、母親が我が子を助けようと真っ暗な海の中を4回も潜ったにもかかわらず幼い子供3人が死亡するという痛ましい結果となり、 マスコミで大きく報道されました。
この交通死亡事故の原因が福岡市職員という公務員による飲酒運転だったことや、その後も全国的に飲酒運転による交通事故が連続発生したことなどから、 飲酒運転への怒りの声が全国に満ち満ちている状況です。
新聞、テレビ等で大きく報道されましたように、福岡市で2006年(平成18年)に飲酒運転で乗用車に追突して博多湾に転落させ、幼児3人を死亡させたとして、危険運転致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元同市職員、今林 大(ふとし)被告(24歳)の控訴審判決が平成21年5月15日に福岡高裁でありました。
陶山博生裁判長は、1審の福岡地裁判決が適用しなかった危険運転致死傷罪が成立すると認定して、1審での懲役7年6月を破棄し、懲役20年(求刑・同25年)を言い渡しました。
業務上過失致死傷罪(当時 〜 現在は、この事故の翌年となる2007年に刑法が改正され、罰則を強化した『自動車運転過失致死傷罪』が施行されています。)を適用した1審と危険運転致死傷罪を適用した2審では、刑罰の重さが大きく違いますが、厳罰を願い続けた3児のご両親の大上哲央(あきお)さん、かおりさん夫妻は、判決後、「胸がいっぱいになった。判決を受け止め反省してほしい。(哲央さん)」、「危険運転致死傷罪が適用されたことは評価できます。(かおりさん)」と涙をこらえながら話された、と報道されています。
大上さんご夫妻は、長男紘彬(ひろあき)ちゃん(4歳)、次男倫彬(ともあき)ちゃん(3歳)、長女紗彬(さあや)ちゃん(1歳)の3人をこの事故で失われました。法廷では、3児の遺影を抱いて傍聴席の最前列に座り、涙を浮かべながら判決理由の朗読に聴き入っておられた、とも報道されました。
被告・弁護側は上告するとのことですので、この刑罰が確定したわけではありませんが、1審判決を上回る重い刑が下されたことに、傍聴席の多くの人が得心した様子だった、と伝えられており、この交通事故の悲惨さを改めて思い出す判決となりました。
【 飲酒運転の怖さ 】については、このホームページでも平成18年に作成した下記に記載しておりますが、飲酒運転の厳罰化などにより、飲酒事故や飲酒運転違反は大きく減少している、とのことです。
しかし、これだけ飲酒運転の悪質・危険性が叫ばれている中で、今でも飲酒運転を続けている人はより悪質とも言えます。
≪飲んだら乗らない、乗るなら飲まない、乗る人には飲ませない≫の飲酒運転3ない運動をみんなで徹底しましょう。

これに対応して、全国の警察は飲酒運転の取締りを強化しています。
12月に入ってからも、今年2回目の「全国一斉飲酒運転取締り強化週間」が設定、実施され、島根県警察の発表によりますと、 12月7日(木)夜から8日(金)早朝にかけて警察官227人が出動して実施した結果は、一晩で7件の検挙があったとのことです。
今年の島根県内の飲酒運転検挙件数は11月末現在で586件(昨年同期917件)となっており、昨年より減少してはいますが、 この減少は福岡市での悲惨な飲酒運転事故への国民の怒りを考えれば当然のことです。
逆に、このような情勢の中でも飲酒運転をする運転者がいることにやりきれない気持ちを抱く県民は数多いことでしょう。
島根県議会も、12月15日に「飲酒運転事故の防止に向けて根絶に関する決議」を全会一致で採択いたしました。
飲酒運転による交通事故は、単なる「事故」と呼べるものではなく、重大な『犯罪』であることをすべての運転者が自覚しなければなりません。
そして、『飲酒運転の怖さ』を知り、その根絶を県民全員で呼びかけあいましょう!
飲酒運転で重大事故を起こした運転者の言葉は、「考えが甘かった」「自分の弱さを痛感した」などが殆どです。
そうした運転者は、飲酒運転が危険な運転だと知っていながら、何故か自分に限っては交通事故に繋がらない、 という気持ちだった、ということになります。

アルコールは少量でも人体に強力に作用する物質ですが、特に「脳」に影響して「酔い」の状態を作ります。 酔いの程度は脳内のアルコール濃度で決定されます。
アルコールの影響は、一般に言われる
「お酒に強い・弱い」には関係なく、アルコールの血中濃度に応じた症状が現れます。
アルコール濃度が高いほど 車の運転に必ず必要である「判断能力に重大な影響」を及ぼし、 「危険に対する反応時間」が遅くなってしまうことを忘れてはなりません。
ちなみに、交通死亡事故率を見ますと、「飲酒無し」の状態に比較して 8.4倍、酒酔いに至っては36.5倍となっています。(警察庁調べ)

アルコールの分解には時間がかかります。体内に留まっている限り、身体に悪影響を及ぼします。
深夜までなどの大量の飲酒は、間違いなく朝までに分解されないまま残っています。
いわゆる「二日酔い」での運転も飲酒運転であり、アルコールの影響から逃れることは出来ません。
飲酒運転については運転者に非があるのは当然ですが、周囲の人達に原因や助長する言葉、行為のあることがあります。
運転するのを知りながら飲酒を勧めたり、酒類を提供したり、さらに飲酒をそそのかして運転させたりなどは、 共犯として運転者と同様に刑事責任を問われることがあります。
飲酒しての運転による刑事責任は次のとおりです。
● 飲酒運転者本人に対する厳罰化 平成19年9月19日施行



今年の6月1日から、飲酒運転などの悪質・危険な違反や交通事故の点数が改正され、酒気帯び運転でも『取り消し』となるなど厳しくなりました。
| 区 分 | 改正前 | 改正後 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 点数 | 懲役 | 罰金 | 点数(欠格期間) | ||
| ひき逃げ | 23点 | 10年 | 100万円 | 35点(3年) | |
| 酒酔い運転 | 25点 | 5年 | 100万円 | 35点(3年) | |
| 酒気帯び | 0.25以上 | 13点 | 3年 | 50万円 | 25点(2年) |
| 0.15以上 | 6点 | 人身事故等 15点(1年) | |||
| 違反なし 13点(90日) | |||||
| 危険運転致死傷罪 | 45点 | 致死 62点(8年) | |||
| 致傷 45〜55点 | |||||
| (5年〜7年) | |||||
| 死亡事故 | 責任:重 | 13点 | 20点 | ||
| 責任:軽 | 9点 | 13点 | |||
こうした刑事責任などのほか、交通事故賠償の面では、過失割合で通常より飲酒運転者の過失を大きく取ったり、搭乗者保険、車両保険を免責(保険金が支払われない)とされることもあり、飲酒運転はこうした不利益を受けることとなります。
飲酒運転は厳しいペナルティがあることや、酒の酔いも手伝って『ひき逃げ』に繋がるケースがかなりあり、 罪に罪を上乗せする結果となっています。
ひき逃げ事故は最悪の結果を招き、交通事故の内容によっては人生を失うことにもなりかねません
なお、ひき逃げ行為についても、平成19年に改正され、それまでの『5年以下の懲役または50万円以下の罰金』から、『10年以下の懲役または100万円以下の罰金』に刑罰が引き上げられています。
福岡市での飲酒運転による交通死亡事故が背景となり、警察庁は9月12日から18日までを 「飲酒運転取締り強化週間」に設定し、期間中の9月14日から15日にかけては全国の警察が飲酒運転の一斉取締りを行いました。
一斉取締りでは一晩に1,126件が摘発され、1週間の結果は4,383件となって、飲酒運転が大問題になっている 中で、まだこれだけ違反するドライバーがいる厳しい現状となりました。

こうした実態から9月下旬に実施された「秋の全国交通安全運動」では、急遽『飲酒運転の根絶』が運動の重点に追加されるなど、 警察では飲酒運転取締りを一層強化しており、10月27日から28日にかけて行われた全国一斉取締りでも1、053件が摘発されています。
このように、飲酒運転への怒りが日本全国に広がる中で、自治体職員や警察官、自衛官などによる飲酒運転が報道され、 国民のひんしゅくを買っていますが、飲酒運転に対する懲戒基準を大幅に見直す自治体が増加し、島根県が11月7日、鳥取県が11月 1日にそれぞれ懲戒免職などの厳罰化への改定を行いました。
また、島根県内では様々な職域、地域組織などで『飲酒運転追放署名簿の提出』などの自主的な活動が実施されています。
さらに、運送会社、バス・タクシー会社などでは、少量の飲酒でも検出可能な『アルコール検知器』を導入する動きが活発ですし、 車のエンジンがアルコールを検知するとかからない装置も売り出されるなど、ソフト・ハード両面での活動が展開されています。
交通安全は、一部の人々の力で実現できるほど簡単なものでないことはご存知のことと思います。
【飲酒運転の根絶】を目指すには、ドライバーだけではなく、周囲の人達の力が必要となります。 皆さん、交通違反の中でも特に悪質・危険な違反である飲酒運転を無くすため、協力の輪を広げましょう。
このページのイラスト提供:(財)全日本交通安全協会